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練習は多いほどいい、は間違い。年齢に合った運動量の科学

うまくなる話全年代公開日 2026年8月29日約3分で読めます

「うまくなりたければ、とにかく練習」。親世代が子どもの頃に当たり前だったこの考え方は、いまのスポーツ医科学では支持されていません。練習量には「足りない」だけでなく「多すぎる」があり、多すぎる側の害が研究で繰り返し示されているからです。この記事では、週にどれくらいが適切かの目安を、出典を示しながら整理します。

まず土台:体は毎日60分動かしたい

世界保健機関(WHO)は、5〜17歳の子どもについて、1日平均60分以上の中強度以上の身体活動を推奨しています(WHO, 2020)。これはサッカーの練習に限らず、外遊びや通学の徒歩なども含めた「体を動かす時間」の話です。つまり、動くこと自体は毎日必要です。問題はその中身が、大人が管理する練習に偏りすぎることにあります。

目安は「週の練習時間 ≦ 年齢」

アメリカの若い選手を対象にした研究では、組織化されたスポーツ(チーム練習や試合)の週の合計時間が、年齢の数字を超えている選手は、けが(とくに使いすぎによる障害)のリスクが高いことが示されました(Jayanthi ほか, 2015)。8歳なら週8時間まで、11歳なら週11時間まで、という目安です。同じ研究では、大人が管理する練習の時間が、自由な遊びの時間の2倍を超えている場合にも、けがが増えることが報告されています。週3回・1回90分の街クラブなら合計4時間半で、小学生でも十分に範囲内。逆に、チームの練習に加えてスクールを2つ3つ掛け持ちすると、この目安は簡単に超えてしまいます。

休みは「サボり」ではなく設計するもの

アメリカ小児科学会は、若い選手について、週に少なくとも1日は完全な休養日をとること、年に合計2〜3か月はその競技から離れる期間を持つことを推奨しています(Brenner & AAP, 2016)。使いすぎによるけが(オーバーユース障害)は若い選手のけがの大きな部分を占め、休養不足と単一競技への早い絞り込みがその背景として指摘されています(DiFiori ほか, 2014)。成長期特有のひざやかかとの痛みを「根性が足りない」で片づけるのは、いちばん避けたい対応です。

年齢別のイメージ

研究の目安を日常にあてはめると、こうなります。低学年(6〜8歳)は、チーム練習は週2〜3回・合計数時間で十分で、それ以外は公園遊びなど自由に動く時間を多めに。高学年(9〜12歳)は週3〜4回でも範囲内ですが、スクールの掛け持ちで「週の合計」が年齢を超えていないかを一度数えてみてください。中学生(13〜15歳)は部活やクラブで自然と時間が増える年代なので、上限よりむしろ休養日が週1日確保できているか、睡眠が削られていないかが焦点になります。いずれも一律の正解ではなく、本人の疲れ具合で調整する前提の目安です。

量を増やす前に、確かめること

練習を増やすかどうか迷ったら、先にこの3つを確認してください。朝すっと起きられているか。どこかの痛みを我慢していないか。サッカー以外の遊びや自由な時間が残っているか。ひとつでも欠けているなら、増やすべきは練習ではなく回復です。うまくなるために必要なのは、根性で積み上げた時間ではなく、けがをせずに長くプレーし続けられる体と気持ちです。

この記事のまとめ
  • 体を動かす土台は1日60分(WHO)。管理された練習の量は別で考える
  • 週の練習時間が年齢の数字を超えるとけがのリスクが上がる(8歳なら週8時間まで)
  • 週1日は完全オフ。自由な遊びの時間も削らない
  • 増やす前に、朝の目覚め・痛み・自由時間の3つを確かめる

主な出典

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