「下の子のほうが球技はうまくなる」「B型はゴールキーパー向き」。グラウンドの横でささやかれる、こうした説には根拠があるのでしょうか。気になるけれど誰もまじめに調べない話を、実在の研究にあたって整理しました。
出生順:「弟・妹が有利」には、一応の根拠がある
メジャーリーグの兄弟選手を比較した研究では、弟のほうが盗塁などリスクを取るプレーを多く試み、選手として長く活躍する傾向が報告されています(Sulloway & Zweigenhaft, 2010)。スポーツ全般でも、トップ選手には後生まれ(弟・妹)が多いという報告が複数あります。理由として有力なのは、下の子は幼いころから年上の兄姉を相手に「常に格上との勝負」を経験すること。同年代相手より難しい環境で遊び続けることが、そのまま練習になっているという見方です。
ただし、これは集団の傾向の話です。長男・長女の代表選手はいくらでもいますし、一人っ子でも年上の子が多い環境(学年ミックスの練習など)で同じ効果は得られます。「上の子だから不利」と考える必要はまったくありません。
血液型:日本の大規模調査で「ほぼ無関係」
血液型と性格の関連については、日本とアメリカの1万人以上のデータを分析した研究があり、性格のちがいは血液型では説明できない、という結果が出ています(縄田, 2014)。つまり「A型だから慎重なディフェンダー向き」といった話に、科学的な裏づけはありません。血液型で子どものポジションや向き不向きを判断するのは、やめておいたほうがよさそうです。
性格:関連はあるが、運命ではない
性格とスポーツの関係を整理したレビューでは、外向性や誠実性(コツコツ続ける傾向)が運動の継続や競技レベルとゆるやかに関連することが示されています(Allen & Laborde, 2014)。ただし関連は「ゆるやか」で、内向的なトップ選手も普通に存在します。性格は向き不向きを決めるものではなく、その子に合った続け方を考えるヒントくらいに受け取るのがちょうどよい距離感です。
親の関わり:古典研究が示す「うまく育つ家庭」の共通点
才能ある若い選手の家庭を追った古典的な研究では、共通点として、初期は結果を求めず「楽しむこと」を最優先にしていたこと、専門的な打ち込みは年齢が上がってからだったこと、そして親が指導者の役割を取らず、送迎と応援という支え役に徹していたことが挙げられています(Côté, 1999)。一方で、日本では家庭の経済状況と子どものスポーツ機会の関連も繰り返し指摘されています(笹川スポーツ財団の調査など)。ここはきれいごとで済まない部分ですが、東京に関して言えば、サカくらの掲載データでも月1,000〜3,000円台で活動する少年団が実在します(月謝がわかるチーム一覧)。かけたお金の額と、子どもの伸びは別の話です。
まとめ:変えられるものに集中する
生まれ順も血液型も、いまさら変えられません。研究がはっきり示しているのは、変えられないものの影響は小さいか無く、変えられるもの——年上と混ざって遊べる環境、楽しさ優先の初期経験、コーチ役をしない親の距離感——の影響が大きい、ということです。心配の向け先を、そちらに移していきましょう。
- プロ野球研究では、弟のほうがリスクを取るプレーが多く、エリート到達との関連も報告されている
- 血液型と性格の関連は、日本の大規模調査で「ほぼ無関係」という結果
- 才能が育つ家庭の共通点は、初期は「楽しさ優先」で、親はコーチ役をしないこと
- 変えられないもの(生まれ順・血液型)ではなく、変えられるもの(環境と関わり方)に集中する
主な出典
- Sulloway, F. J., & Zweigenhaft, R. L. (2010). Birth order and risk taking in athletics: A meta-analysis and study of major league baseball. Personality and Social Psychology Review, 14(4), 402-416.
- 縄田健悟 (2014). 血液型と性格の無関連性——日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠. 心理学研究, 85(2), 148-156.
- Allen, M. S., & Laborde, S. (2014). The role of personality in sport and physical activity. Current Directions in Psychological Science, 23(6), 460-465.
- Côté, J. (1999). The influence of the family in the development of talent in sport. The Sport Psychologist, 13(4), 395-417.
